小さな模型を手に、「今、着工している家なんです。北向きなんですけど、光が差し込む工夫があって、明るい家になると思いますよ」と、嬉しそうに説明する。
北向きだったり、変形土地だったり、クライアントのイメージを、土地の条件と合わせて、実現して行く作業は、とても難しい。けれど、それらが一体化した時、アイデアが沸いてくる。それを平面に表した時、クライアントにうまく伝えられるか、予想通りに出来上がるのかを考える。その時、現場経験がある得本は、その実体験がとても役に立つのだと、自負する。
どんな土地でも、その人らしい、満足してもらえる家づくりが出来る。得本は、ポウハウスデザイナーとしてそれを実行している。
「新しい家に変わるからといって、今あるものを全て捨てる訳ではありません。大切にしていた物、育てて来たことを新しい家にうまく取り込むことが、次へのステップに繋がるのだと思います。」と、愛着のある、温かい得本の人柄が表れている。
「職人の手仕事が見えたり、自然素材の深い味わいを身近な場所で感じられるのは、長い年月を考えても、とても良いものですよね」。昔の想い出も大切にする得本は、時間の経過さえもデザインする。その結果、じんわりと心に馴染む住み心地の良い家になる。
旅行が好き。そして、旅先では必ずその土地の建物や、公園を散策する。仕事熱心というより、デザインすることが楽しくて仕方が無い。だから、アイデアも溢れ出るのだ。