幹線道路から奥に入っていくと300坪の広い敷地が現れ、奥に母屋があります。O様邸の計画地は緑に囲まれ、遮るものがほとんどない環境でしたが、母屋へのアプローチが建物の南側を通る欠点がありました。また、この辺りは人と人と交流が多い土地柄なので、プライベートとの境が暖味になってしまいがち。コミュニケーションとしては良いことですが、現代の家族には時としてストレスになります。
そこで今回は広い計画地に「裏」をつくり、それぞれのライフスタイルを崩さずに生活できる空間をつくっていくことにしました。南側・東側は開口部を少なくし、壁と巨大な格子で囲い設けて、「硬さ」を印象付ける外観デザインに。大きな壁で守られた内側には、「柔らかい」ラインで構成された、優しい光に満ちた空間が存在しています。
住まいの中心には階段を配し、それぞれの動線が重なり合うように計画。階段の正面にはご家族が集うリビングがあり、「裏」に向かってウッドデッキが広がります。そこに流れるのはゆったりとした、O様邸だけの特別な空間となります。
「いくつもの時間の流れや風習が存在している中で、今まで存在していなかった自分たちのライフスタイルを創る場を」というご要望にお応えする住まいが完成しました。