東側に水路、西側に駐車場、南側に市民農園、そして北側には人通りの多いバス通りに囲まれたA様邸。建物を計画する上で、プライバシー確保のためにバス通りに対しては閉じていたいとのご要望がありました。
そこで、道路側にカースペースを設けて道路と建物の間に距離をもたせ、建物を「コの字型」に配置し外部へ開口部を最小限に抑制。
中庭を設けることで、車の排気ガスや人の視線を遮るプランとしました。また、敷地内は半分以上鬱蒼とした雑木林に覆われ昼でも暗い状態。A様ご自身も管理に手を焼いていて、「木を切ってさっぱりとした庭にしたい」と希望されていました。しかし、木はなるべく生かしたほうが良いという私とのやりとりを重ねるなかで、A様にとって思い出深い木が数多くあることが明らかに。そこから、「手を焼いていた雑木林」を「思い出深い草木を残しながら再生」させ、中庭と繋げて常に緑を意識する生活を送るというプランが生まれました。
A様と“思い出の草木”を小道で繋ぎ、小道に囲まれた場所はそれぞれの特徴のあるガーデンルーム。中庭を介して建物と庭、雑木林がひとつになった豊かな住環境が実現しました。